2007年度関西地域セミナー

最終更新日:2007/6/25 トラぺ掲載

日時 6月16日(土)午前10:00〜午後6:00
場所 大阪大学理学部F棟,H棟(豊中キャンパス)
阪急電車 石橋駅徒歩15分または蛍池駅徒歩15分
大阪モノレール 柴原駅徒歩5分
(懇親会会場も大阪大学構内の予定です。)
アクセスマップ キャンパスマップ 理学部 所在・周辺情報
参加費 3500円(懇親会代含む)
(講演と研究発表のみ参加で、懇親会は不参加の方は500円とします。)
(この企画は財源がないので、旅費の補助等はできません。)


招待講演

素粒子・原子核共通講義
窪田高弘氏 (大阪大学理学研究科 教授)
「低エネルギーニュートリノ実験と輻射補正」

素粒子パート
百武慶文氏 (大阪大学理学研究科 PD)
「超弦理論におけるDブレーンと双対性について」

原子核パート
飯田英明氏 (大阪大学RCNP PD)
「格子QCDに基づいた有限温度・密度系の探求」

研究発表

talkの時間は質疑応答をあわせて20〜30分程度を予定しております。
学生中心に行っている研究交流会なので、どなたでも気軽に参加してください。

タイムテーブル

素粒子
時間タイトル、アブストラクト
〜10:15受付
10:15〜10:30開会式
10:30〜11:00 石井 貴昭 (阪大D1) 「T-duality, Fiber Bundles and Matrices」 [pdf]
行列からの時空の出現について、 ゲージ理論においてのT-dualityを非自明なファイバー束の場合に拡張することについての話をします。
11:00〜11:30 高橋 圭次郎 (京大D3) 「String Phenomenology 標準模型への一つのストーリー」[ppt]
String phenomenologyの最近の成果を取り混ぜて、簡単なレビューとよもやま話をします。
11:30〜12:00 西岡 辰磨 (京大D1) 「Cascade of Gregory-Laflamme Transitions and U(1) Breakdown in Super Yang-Mills」 [pdf]
The Gregory-Laflamme transition is related to the breakdown of the U(1) symmetry in super Yang-Mills on torus through AdS/CFT correspondence. Recent Monte-Carlo data on pure bosonic Yang-Mills implies the cascade of the Gregory-Laflamme transitions in gravity side. We confirm it through thermodynamical analysis. We found the same pattern also in Schwarzschild case.
12:00〜13:00昼食
13:00〜13:50
14:00〜14:50
窪田 高弘 (阪大理学研究科教授) 「低エネルギーニュートリノ実験と輻射補正」
15:00〜15:15休憩
15:15〜15:45 宝利 剛 (大阪市立大D1) 「Kerr-NUT-dSブラックホールの可積分性」
2006年,質量,角運動量,宇宙定数に加えNUTパラメーターを含むブラックホー ル解が発見された. これはKerr-NUT-dSブラックホールと呼ばれる. Kerr-NUT-dSブラックホールの可積分性についての研究を紹介したい. (hep-th/0611285に基づく)
15:45〜16:15 丸吉 一暢 (大阪市立大D2) 「自発的部分的に破れたN=2超対称性によるDijkgraaf-Vafaの関係式の変形」 [pdf]
16:15〜17:15 百武 慶文 (阪大理学研究科PD) 「超弦理論におけるDブレーンと双対性について」 [pdf]
10次元時空には5種類の超弦理論が存在し、それらの摂動論的真空は 双対性によって互いに結びついていると考えられている。 さらに超弦理論に存在する物体に双対性の考えを適用すると、 Dブレーンのような物体も自然と現れる。 講演では現在の超弦理論の研究では欠かせないDブレーンと双対性について、 できるだけ分かりやすくレビューするつもりである。


原子核
時間タイトル、アブストラクト
〜10:15受付
10:15〜10:30開会式
10:30〜11:00 山本 新 (京大M2) 「Doubly charmed baryon potential in lattice QCD」
11:00〜11:30 須原 唯広 (京大M2) 「反対称化分子動力学(AMD)を用いた核構造の研究について」
特に14Cのクラスター構造について現在までに知られている ことと今後の予定についてお話する予定。
11:30〜12:00 関原 隆泰 (京大M2) 「Photon Couplings to Baryon Resonances in Chiral Unitary Model」 [pdf]
Chiral Unitary Model により Λ(1405) を始めとする baryon の共鳴状態が表現 出来る事は、良く知られている。これを利用して、ChUM で表現された baryon 共鳴状態 と photon との結合を考える事により、baryon 共鳴状態と photon との相互作用を理解 する事を、研究の目的としている。 特に、その相互作用から baryon 共鳴状態の form factor を計算できるのではないか、 と期待している。
12:00〜13:00昼食
13:00〜13:50
14:00〜14:50
窪田 高弘 (阪大理学研究科教授) 「低エネルギーニュートリノ実験と輻射補正」
15:00〜15:15休憩
15:15〜15:45 佐藤 弘一 (京大M2) 「相対論的フェルミ液体論に基づくクォーク物質の磁性」
有限温度・有限密度でのクォーク物質の磁性について、フェルミ液体論に基づく アプローチを紹介し、現在までに得られている磁化率や自由エネルギーの計算の結果を 簡単に紹介したいと思います。
15:45〜16:15 中小路 義彦 (阪大D1) 「カイラルクォークソリトン模型に基づく核子の一般化形状」[ppt]
カイラル・ソリトン・モデルに基づいた一般化形状因子Form Factor をパイオン質量をパラメータにした依存性を調べた
16:15〜17:15 飯田 英明 (大阪大学RCNP PD) 「格子QCDに基づいた有限温度・密度系の探求」
格子QCDは、カラーの閉じ込めやカイラル対称性の自発的破れ
などの、QCDの非摂動現象に対する唯一の第一原理計算である。
多くの先達の研究により、近年、格子QCDは数値実験としての地位を
確立しつつある。
一方で格子QCDは、波動関数を扱いにくいことや、有限密度系における
計算がsign problemのために困難であることなど、解析的手法に
比較して不利な点も存在する。

今回のセミナーでは、上記の問題を克服する(または迂回する)試みとして、
我々が現在までに行ってきた、格子QCDの「応用的使用法」について話す。
具体的には、
__格子QCDデータに基づいたシュウィンガー・ダイソン方程式の構築、
およびその有限温度・密度系への応用 [1]
__境界条件を用いた、相転移温度T_c以上におけるチャーモニウムの存在の判定 [2]
__スカラーQCDにおけるスカラークォークの質量生成 [3]
に関して概観する予定である。

このセミナーで、格子QCDを「道具として」身近に感じていただければ幸いです。